(o^∇^o)ノ こんにちはー!
本日は、こそこそモード。 うちのみなさん向け・・・。それ以外の皆さんはお気を付けください。
重厚な石の城壁に守られた閑静な街。ここはその一角にある冒険者専用の居住地。
ここを拠点としている者は、大きな家を構え、仲間や家族を持つ者は大きな屋敷を建てる者もいる。
それ以外は、レンタル用の小さな部屋がたくさん集まった集合住宅がいくつも並んでいる。
さほど大きくはないが、二階建ての3DKの家に彼はいた。
髪は銀色で長く、後ろで一つに結んでいる。耳は尖り、手足は長い。エルヴァーンと呼ばれる種族だ。
彼は出入り口のそばにある窓辺に佇み、腕を組んで街を見つめながら小さくため息をついた。
『つ・つかれた・・・』
連日のように舞い込むノートリアスモンスターの討伐依頼。
そりゃ、冒険者だし、依頼が来るってことはそれなりに認められているってことだし・・・。
はぁ・・・。と、ため息を一つ。
『さすがに毎日じゃ疲れるよ・・』
心の中でぼやき、またため息をつく。
と、窓の外からトタタタタッと、誰かが走る音がしたかと思うと、家のドアがものすごい勢いで開いた。
「うぎゃっ!」「たいへーーーんっ!!!!」
彼の悲鳴は、飛び込んできたタルタル族の少年の大声にかき消された。
「あれ? ラル?? いないの? へんだなー・・」
少年は静まり返った部屋を見回して、誰もいないことを確認するとまた勢いよく外に駈け出した。
部屋の中には顔を抑えてうずくまる「ラル」と呼ばれた彼がいた。
不幸なことに、少年が家に来たと振り返ったところに、勢いよく開け放たれた家のドアが直撃。あまりにもの痛さに声も出ずうずくまっていたというわけだ。
『ち。。チャミのやつっっっっっ』
すこし痛みが引いて立ち上がったところ
「ラルさーーんっ! 大変です!」
「みぎゃっ!!」
先ほどまでとはいかなくとも、それなりの勢いで開いたドアに再び顔面を殴られ蹲るはめになったラルは声すら出せない。
「あら、たいへんでちよ? ラルちゃん大丈夫でちゅか?」
「え?」
栗色の髪をポニーテールにしているタルタルの少女が、ドアの陰で蹲るラルを見つけて、ツンツンと突っついているのをドアを開けた黒髪のヒュームの青年が見つけた。
「うわぁ! ラルさんどうした! 誰にやられたっ!」
ラルの様子に驚きとっさにそう叫ぶと、冷静なタルタルの少女に首を横に振られ、青年はあれっと首を傾げた。
「これは察するに、お兄ちゃまのせいでちゅ」
「まじでっ!」
コントのようなやり取りをする彼らに、顔を抑えた指の隙間からちょっと涙目で睨みつつすこし立ち直って立ち上がると静かにドアを閉めようとしたところに、再び圧がかかりそのまま
壁に押し込まれ哀れラルは今度は頭を壁にぶつけてしまった。
『くっ・・・っ!!』
その様子を見て青年は「なるほど・・」と頷き、少女は「ねっ」と頷いたのである。
なにが起こったのかわからないのは、普通に部屋に入ってきた銀色の髪を肩のところで揃えた、鎧を着たエルヴァーンの青年である。
出入り口にヒュームの青年たちが立っていたので、それを避けて閉まりかけたドアを押して部屋に入っただけだというのになにかが起こったらしい。
「ど、とうかしたのですか?」
エルヴァーンの青年の問いかけに、静かにドアの後ろで蹲るラルを指差す兄妹。
え? と、指された方を覗いて慌ててラルに駆け寄りしゃがみこんで立たせる介助をして、そっと手近な椅子に座らせる。
「いったい・・なにが・・」
青年が首をかしげていると、実はずーーっと部屋の中で一部始終を見ていた、金色の髪を後ろできゅっと結んだタルタルの青年が深~~くため息をついてこういった。
「ドアは静かに開閉しよう」
「は?」
そこに、最初に飛び込んできた、いわば一連の事件の発端となったチャミと呼ばれたタルタルの少年が再び飛び込んできたのである。
ものすごい勢いで開け放たれるドア。
それを観て、タルタルの青年は首を横に軽く振ってからため息を一つ。
「あの勢いで、ドアの後ろにいたラルさんに扉が直撃。あとはわかるね?」
「なる・・ほど・・」
「なになに? なに?」
チャミ以外の全員が頷いていたのだが、なんだかわからないチャミだけが小首をかしげてみんなを観ていた。が、直ぐに家に飛び込んできた勢いを取り戻す。
「それより!! たいへんっ! たいへんなんだよっっ!!」
そう叫んで、一枚の紙をみんなの前に差し出した。
エルヴァーンの青年は、あまりにもの大きな声に慌てて玄関の扉を閉める。
差し出された紙をタルタルの青年が受け取り、顔の痛みで読めないであろうラルのためにと、声に出して読み始めた。
「なになに。ラルメル隊長様。仲間募集の件について。 先日募集をいただきました件について、三人の冒険者が希望してきましたので、明日、面接していただきたくお願い申し上げます。
明日、午後1時半。 場所、冒険者詰所二階 第一会議室。 冒険者三名の面接。 エルヴァーン:リュウ ヒューム:クルエル タルタル:フェイ 冒険者支援協会 サンドリア支部」
「おおお」
タルタルの青年が読み終わると、ラル以外の全員から喜びの声が上がった。
「ねっ すごいでしょっ これでまた、ノートリアスモンスターの討伐依頼がいっぱいっ」
うっとりしているチャミの姿をみて、ラルはテーブルに突っ伏して脱力した。
「なになに、ラルは嬉しくないの?」
「面接次第っ!」
それだけ言ってラルは、チャミにケアルっと要求した。
「偉そうに~~。しかたないなー。特別にでっかいのをあげよう^^ ケアルVI~」
ケアルという回復魔法をもらい、痛みが引いた顔をあげ、ラルはチャミに向かってこう言ったのである。
「ドアの開閉は静かにっ!! 子供ですらそんなことはわかるっ! わかったかっ!」
「は・・はいっ・・」
『疲れた・・・』
ラルは心の中で呟いたのである。